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2010.01.31 (Sun)

「歳の市」に出かけて

                          勝山2
                                 羽二重織物の織機の前で説明を聞く


今日は、遠く勝山市で毎年恒例の「歳の市」が開かれるということで、
ちょうど新しいまな板を購入したいと思っていたところ、久しぶりにドライブを兼ねて出かけてみた。

福井県勝山市は奥越にある人口2万7千人程の地方都市。
かつては織物で栄えたところ、もちろん今でもその流れは続いてはいるが、
どの地方都市と同じで時代の流れとともに、かつての勢いは今はもう無い。
年に一度の「歳の市」は、江戸時代から続くといわれ、旧正月を前に、
近くの山村などから持ち寄った、正月用品や台所用品が揃うとされる市で、
今もなおひきつがれて、多くの人でにぎわってはいるが、
繊維産業が絶好調の時と比べたら、街全体がやはりさびしいのではないだろうか。

少々厚めで板目の美しいイチョウのまな板を選び、買って帰ることにした。
その帰り、明治の頃からついこの間まで実際に稼働していたという機業場の一部を、
市がそのまま保存している所へ立ち寄ってみた。
長い間使われていたという織機を前に、羽二重織物を織る機械の説明を聞いた。
ガタンコトンと機械が動く音は、その仕事に従事していた人にとっても、
一般の人にとっても、なつかしい音だったのではなかっただろうか。
羽二重織物でなくとも、昔は、こちら福井では、繊維王国といわれ、
すぐ近くでどこからか織物の音が聞こえてきた。

繊維は、明治以来、どの産業よりも先駆けて急速に広がった産業だ。
もちろん今でも、その灯は続いてはいるが、往時に比べたら、今や風前の灯のように感じられる。
繊維産業が新興国へ移ってしまったことと、また羽二重など絹織物は、
和服の着物自体の需要が急速に少なくなってきていることの理由がある。
地方なら、昔は嫁入り道具として一通り揃えたものだが、そんなこともだんだん無くなってきた。
和服はとても素晴らしいが、この行動的なクルマ社会に合わないという理由もある。
残念なことだが、時代とともに何もかもが変わってきた。

一つの産業があることは、街にとってどれほどしあわせなことだろうと思う。
多くの雇用が確保でき、それとともに街全体が活気づいてくる。
そして、その逆を行くというのは、とても悲しいことだ。
ここに限らず、地方都市の商店街はどこも似たようなものがあるが、
シャッターがしまり、塗料の落ちかけている建物を見るにつけ、
地方都市のかかえている問題をしみじみと実感した、祭りの日だった。

                                         職人K
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