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2015.01.18 (Sun)

「動物」に学ぶ対談から

「チンパンジーは私たちに何を問いかけているのか」 という識者の対談を拝読しました。

チンパンジーは、、

人間は二足歩行を始めたから手が自由になり、
道具を使えるようになったことが進化の原動力となった、というのがこれまでの進化論でした。
しかしながら、長年のチンパンジーの日々の暮らしに寄り添い、中に入っての研究や実験により、
2007年、新しい論文が発表されました。
人間の赤ちゃんがまず仰向けに寝ていることに注目、
このことが人間としての基本だという主張です。
すなわち、そのことは、
親と見つめ合い微笑みを交わす、フェイス・トゥ・フェイスのコミュニケーションが出来ること。
お腹が減ると泣き出して親を呼ぶ、声によるコミュニケーションがとれること。
チンパンジーのようにいつも親にしがみついているわけではないので、手が自由になること。
だから早くからガラガラを握って振ったりする、そしてつかんだものが道具になってゆくというのです。
そういえば、人が亡くなった時にも仰向けに寝ていて、
人々はお顔を拝み、顔と顔を見合わせてコミュニケーションを取り、お別れをします。
「仰向け」という姿勢は、非常に重要で、
その姿勢こそが人間を進化させたということでしょうか。
さらに、
霊長類であるチンパンジーをよく観察研究していくと、
人間と同じように死を悼むような気持もありますが、
人間が出来て、チンパンジーに出来ないことがあるといいます。
それは「想像する力」。
長年の研究により、絵は描けても、
「今ここにないものを想像して絵に描く」ということは、チンパンジーには出来ないということ。
想像する力というのは、人間だけのものだといいます。
当たり前のことのようで、なるほど、、と考えさせられます。
逆に言えば、
人間には、この想像力があるから、現状がどんなに悲惨でも未来に夢や希望を持てるということも。
さらに、今、さまざまな生物のゲノム(すべての遺伝情報)解析が進んでいますが、
人間とチンパンジーでは98.8%まで同じということがわかりましたが、
なんと植物の稲までが40%は人間と同じだといいます。
お釈迦さまが言われるとおり、
人間は他の動物や植物と同じにイノチが繋がっているという認識からの出発しなければならないと。
仏教の「草木国土悉皆成仏」という思想です。

世界でも例のない、フィールドでと屋内実験室での両方にわたる30余年にわたる研究。。
それは、そもそもが日本人にとって猿が身近に感じられる動物であるということも、
一つの理由のようです。
猿公(エテ公)という言葉がありますが、私たちにとっては、
猿は本当に身近かで大変興味深い動物であるけれど、
欧米の人はあまり感じないといいます。
それは北米やヨーロッパには野生の猿がいないから。
猿はもともと熱帯や温暖な地域に住む生き物。
先進国で猿が住んでいるのは日本だけ。日本には北限のサルがいるといいます。
日本人には、やはりどこか生きとし生けるものは皆どこかで繋がっているという感覚があるのか、
京都大学には長年チンパンジーのフィールドでの観察からなる研究がなされているのは、
大変興味深いことで、今後ますますの成果を期待したいと思います。 m(__)m

 (※対談の門脇健氏は、こちら福井が生んだ哲学者。 丸いメガネが大変素敵で印象的でした。)

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2014.09.29 (Mon)

梅原猛氏講演会に行く 

                     梅原氏1

昨日、哲学者、梅原猛氏の講演会に参加してきた。
梅原氏は御歳90歳、御高齢にもかかわらず、
泰澄と越前の国との深いつながりの御縁にひきつられて、
今回もまたこうして足を運んで下さったのだという。
(前回は、世阿弥についてのお話があった。)

題名は、「新しい人類の哲学、現代文明の在り方を問う」。
大変素晴らしい内容だった。 
梅原猛は西洋文明の限界を感じ、日本の思想の中に、
この先の文明に必要な思想が潜在しているのではないかと思い、40歳のころ、
西洋哲学の研究者から日本文化の研究者に転身。
そして40年にも及ぶ研究の結果、日本文化の中心思想を、
「草木国土悉皆成仏、そうもくこくどしっかいじょうぶつ」という思想、
つまり、草木や国土のように心をもたないものでさえ、ことごとく仏性があるから成仏するという、
天台本覚思想の中にそれを見出したのだという。

近代西洋哲学は、理性的あるいは非理性的な人間中心主義を免れない。
このような哲学によって支配される世界は、人類にとっては良き世界かもしれないが、
人類以外の動植物にとっては、はなはだ過酷な世界であった。
どれほど多くの動植物が、
この人間中心主義の哲学に導かれた科学技術文明によって絶滅しただろうか。
そのような人間以外の動植物の絶滅は、つまるところ、人間の存続をも脅かす。
梅原氏によると、このままでは1000~1200年のうちに人類は滅んでしまうのでは、という。
今こそ求められるのは、そのような自然支配の哲学ではなく、
これからの時代は、自然との共生を原理とする哲学によらねばならないとのこと。
巷で当たり前によく言われていることのようながら、
大哲学者の強いお墨付きを得たような気持になって、うれしかった。

昔開いた本の中に興味深い一文があった。 1993年刊であるから今から20年前のもの。
文明を基礎づけるものは哲学。
ひとたび禁断の果を食った人間には、かかる苦悩のあるのも已むを得ぬことであらう。
(西田幾多郎、「善の研究」の序文の言葉である)

  私は旧制高等学校の時に「善の研究」のこの序文の言葉に出会い、
  西田の如く哲理を考えるべく罰せられた生活を一生の生活にしようと思い、
  西田の学風の残る京都大学哲学科に学んだ。
  しかし既に西田は死んでいて、直接、西田の謦咳に接することは出来なかった。
  しかし、京大で学ぶうちに西田を神の如く尊敬し、
  その一字一句を自分の言葉として語る師友に飽き足らず、
  入学してまもなく「我々は西田の声帯模写をすべきではなく、西田の如く真剣な思索をして、
  しかも西田と全く異なる独創的な哲学を作るべきだ」と豪語し、師友の顰蹙(ひんしゅく)を買った。

  あれから四十数年、私はまだ西田の如く哲学を作っていない。
  西田の哲学の根源に禅の体験があり、
  そこから彼はデカルトをはじめとする近代西欧の哲学を批判した訳であるが、
  私は幸いにアイヌの思想によって「循環」という宇宙の根本原理を知った。
  その原理を中心に、21世紀に生きる人類の哲学を立てたいと思うが、
  もうそう時間が残されていないのである。                    1993年
   

この時梅原氏70歳。
このたびの講演は、20年前に、まだ出てはいなかった、まさにその答えであると思った。
本題のために、日本文化を長きにわたって研究、
御歳90にして、辿りつかれた本題の哲学思想、、
その研究の成果ともいうべき梅原哲学を、しっかりと受け止めたいと私は思った。
                                                  、、、職人K
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2014.01.21 (Tue)

寄せて在り、芙蓉第一峯

                        寄せてあり、芙蓉第一峰
                                         「ことばを旅する」記事より

寄せて在り、芙蓉第一峯」という言葉がある。
熊本藩士、横井小楠の詩中にある言葉であるという。
芙蓉峯とは、富士山のこと。
ここで富士に寄せてあるのは「平生の心事」で、
どこにでもある山ではなく、
つねに日本第一の山である富士山を心に刻んでいるということ、
「人間は富士山のように第一等を心掛けねばならぬ」と、
血気さかんな青年たちに、小楠は かねがね訓戒していたという。
横井小楠は幕末の志士、
西郷隆盛と並んで二人、勝海舟をして、恐ろしいと言わしめた人物で、
「横井の思想を西郷の手で行われたら敵うものはあるまい」と見抜いたというが、
わが福井藩の松平春嶽公からもぜひにと招聘された、福井県ゆかりの人物でもある。
明治2年に暗殺されるまで、ひたすら国家の設計に立ち向かった人物であるという。
時あたかも幕末維新、激動の時代の中で、
そんな小楠が 富士に託したものは、
つねに忘れることのない晴朗な志であり、覚悟であったに違いない
、と
指摘するのは、細川護煕元首相である。

こちらは、同じ熊本藩でも、藩士の身分とは違うお殿さまである細川氏、
この横井小楠に限らず、
いろんな歴史上の人物に対して、そのゆかりの土地を実際に訪ね親しみながら、
エッセイ風に書かれた「ことばを旅する」シリーズは、
今から10~15年ほど前、当時の私の楽しみの一つだった。
そのカラー記事だけがお目当てに、連載されている週刊誌(週刊文春)を毎回購入した。
シリーズもやがて終わり、数回抜けた分があるものの、
私の手元には、その切り抜いたものが、一冊の本になるくらいの数になった。
(実際、後に一冊の本にまとめられ、刊行された)
記事を毎回取り置きしながら、私は、
書物の中で、古今東西、多くの先人に親しみ師として仰ぐ、
学問肌で、温厚な人柄の細川氏の熱烈なファンになってしまっていた。
このシリーズが始まったのは、
政界をしりぞいて身辺も静かになってゆっくりとされ始めた頃、
もう二度と政界に戻られるようなことは無いように思われた。

横井小楠の言葉、「寄せて在り、芙蓉第一峯」はシリーズ第三回目のものだったが、
今回の都知事選に名乗りをあげ、
再び政治の場に出られることを決断されたことを知った時、
私は、すぐに、この言葉が思い出された。
今回の決断が、富士山のごとく第一等の志で、
この国の行く先を思うゆえの、政治家としての覚悟だと直感した。

                                     、、、職人K

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2013.09.08 (Sun)

哲学入門、死ぬのは僕らだ!

新刊本

新刊本が、9月10日に発売されます。
 門脇健著、哲学入門、「死ぬのは僕らだ!」 角川SSC新書より、800円。

この本は、我らが同級生、中でも群を抜いて優秀だった門脇健氏の、初めて出版される文庫本。
本の帯を読んでみると、何と、有名な内田樹氏の推薦の言葉。
「、、、この潔さに私は深い敬意を寄せる。」とあります。
難しい哲学の世界を、私たちのような、浅学の一般人にもよくわかるように、
ポップスや映画と同じレベルで語られているとのことです。

出版のことを聞いて、アマゾンですぐに予約をしましたが、
同い年のよしみで、先に一冊頂戴しました。
出版、おめでとうございます!!
自分のことのように、大変うれしいです。
とても、誇らしいです。 サインを入れてもらわなければなりません。(^_^)v
「いかに死に向き合うべきか?」
ちょうど、そのようなことが気にかかる年齢になってまいりました。
こちらのほうの基礎素養が無いのが心配ですが、
ぜひ挑戦して読んでみたいと思います。

どうしてそのような本を頂くことになったのか、って?
それは、著者プロフィール写真を見ればわかります。
哲学と知性、丸メガネは、切っても切れない深い関係にあります。
私たちのヤジロベエメガネを愛用して下さってるからであります。

さあ、あなたも本屋さんへ!  LET’S GO!!
                  
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2013.04.12 (Fri)

小林秀雄の対談から

                                小林秀雄
                                在りし日の小林秀雄(1902-1983)

先日購入した、」雑誌の付録としての、小林秀雄の肉声の録音CD、
それは、60年にも及ぶ友人、河上徹太郎との晩年の対談で、
お酒を飲みかわしての和やかな雰囲気の中でのものだった。
場所は、一流処、福田屋。
魯山人ゆかりの格式高い料亭で知られるのに、
「もっと この部屋の雰囲気に合うような杯を持ってこい、、」
「熱燗の酒、熱すぎるのはだめだぞ、、」
「ハイ」
などと、気心知れた常連客であることがうかがえる。
文章からとはまるで違う、言霊というものがあって、人間そのものが伝わってきた。
繰り返しよく聴かないと、なかなか理解出来ないところがあるが、
それは「無知」という不勉強からくるものばかり、
それでも、言わんとしているところは 少しは私にも伝わってきた。
しかしながら、手を動かしながら聴いていたら、
だんだんとお酒が入ってくるのが、聴く側のこちらにまでお酒がまわってくるみたいで、
仕事にならなくなった。 (^^ゞ

その中で、「ふーん、なるほどなぁ、、」と、ハッと思われるところがあった。
それは、人間と歴史についてのこと。
河上徹太郎が、
「近ごろの歴史小説はつまらない」という。
歴史は、人間のそばを流れてるもの。
決して、人間が歴史を作れるものではないんだ。
それなのに 最後は美しく終わっている?
歴史というものは、決して美しいものではない。

小林秀雄曰く、
なかなかそれは言葉では説明しにくいが、大事なこと。
君の言わんとすることはわかる。
つまり、我々は歴史の中にとっぷり入ってる、
その泳ぎ方なんだが、自分の思うように泳げるものだと思っている。
実は、泳がせてもらっているものであって、
自分が泳がせてもらっているという信仰が足りない、、
その結果、自分をたのむことになり、
人間が歴史を作ってる、というふうになるのが現代なんだ、、というくだり。

今という時代は、歴史の中に、泳がせてもらっているという信仰が足りない!
その指摘には、さすがだと思われた。
一昔前ならば、そうではなかったに違いない。 
今という時代は、何かにつけ、思考の、そもそもの出発点からして傲慢だということだろうか。
お酒がまわって和やか過ぎるような対談の中で、
何か また一つ、拾い物をしたような、気持ちになった。
                                       、、、職人K
 
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